<今回のテーマ>
車内の暑さ、寒さ、結露対策
前号まで『キャンピングカーメンテナンス&トラブル対策の基本のキ』と題していた私のページをリニューアル。新たに『快適車中泊&キャンピングカー生活基本のキ』としてお届けします。引き続き私の25年以上にわたるキャンピングカー人生での経験を元に、皆さんに有用な情報をご提供していこうと思います。
今回のテーマは、車内の暑さ、寒さ、そして結露対策です。
四季を通して、快適な居住空間を確保するために、キャンピングカー作りでスタンダードになりつつあるのが、断熱対策です。主流は住宅に使われる断熱用フォーム材の採用ですが、他にもJAXAがH2ロケット開発に際して生みだした断熱塗料をもとに生まれた『ガイナ』を塗布するなど、さまざまな断熱対策があります。コストがかかるところではありますが、高い快適性を求めるならば、キャンピングカー購入時に気にしておくといいでしょう。
その1:暑さ対策
キャンピングカーのエアコンは、欧米式のルーフに装着するタイプが主流でしたが、現在は家庭用エアコンを採用することが増えています。室外機の架装が必須で手間とコストはかかりますが、ルーフ式に比べよく冷えて静音性が高く、振動や消費電力が少ないという利点があります。少し高価ですが、『クレクール』など車載用のポータブルクーラーも人気ですね。エアコンやクーラーはキャンピングカーや車中泊愛好家の増加や、気候変動による酷暑対策として、まだまだ進歩してゆくと思います。
電源確保に有効な発電機も、騒音に配慮すると使える場所が限られます。ソーラーシステムは、パネル面積の確保の難しさや、昼夜クーラーを使い続けるには心もとないなどの問題があります。そんな時は是非『くるま旅クラブ』が普及を進めている、外部電源付きの『RVパーク』などを利用して快適にお過ごし下さい。
最後に私の一番のお薦めですが、それはアウトドアの基本に立ち返り、涼しい場所に出かけること。当たり前のことで恐縮ですが。(笑)
家庭用エアコンは、キャンピングカーでも高性能を発揮。
発電機はとても便利だけれど、使用できる場所が限られる。
言うまでもなく、外部電源付きRVパークは、お手軽便利!
その2:寒さ対策
これからの季節は寒さ対策に感心が向いてきます。寒いところで寝ると、身体が硬直して肩こりや腰痛の原因になり、翌日に響きますからね。寒さ対策で重要なことは、まず冷気の侵入を防ぐことです。窓を吸盤付きのシェードなどでふさいでやることで、高い防寒効果が得られます。特に窓の多いミニバンやワンボックス車で、高い効果が期待できます。これにアウトドア用の高性能シュラフがあれば、かなり快適に就寝できるはずです。
FFヒーター装備のキャンピングカーでも、カーテンの裾部分を壁に密着させることで冷気の侵入を防ぎ、暖房効果を高めることができます。
古典的ですが、『湯たんぽ』もお薦めです。ペットボトルにお湯を入れても代用できますので、是非お試しください。ただしキャップをきちんと締め、湯たんぽケースやタオルでカバーしないと、ヤケドすることがあります。ご注意を!
高い防寒効果が得られる吸盤付きシェード。(画像提供:Aizu)
カーテンは裾部分を塞いで冷気侵入を防止するのがお薦め。
その3:結露とその対策
外気温との寒暖の差によって発生するのが結露です。車中泊では、人やペットが乗車、お湯を沸かし、就寝もする。窓だけでなく、金属部分や壁面も結露することがあります。
対策はいろいろあり、専門誌やネット上の情報を参考にご自身で試してみるのもいいでしょう。簡単な方法としては、こまめな換気で湿気を外へ逃したり、ヒーターや除湿機を利用する、また非常口を含む開口部を銀マット、ビニールレザー、布などでカバーしてやるのも有効です。
キャンピングカーメーカーやショップも、時代時代の新しい技術で結露対策を考えていますので、相談してみてはいかがでしょう。コストはかかりますが、ペアガラスや樹脂製窓への交換や断熱材の追加によって、結露を高いレベルで防ぐことができます。
キャンピングカーに「ホテル並みの快適性」を求める方から、「テントよりマシ」という方まで、ユーザーの感覚はさまざま。何を求めるのかによって対策方法も変わってきます。結露によってカーテンが濡れたり、カビが発生するのはイヤなものです。けれど結露しない環境は、非常に乾燥した状態でもあるわけです。多少結露するぐらいが人間にとっていい環境だとも言えます。「狭い空間なんだから、これが自然!」と考え、結露を楽しむぐらいの余裕を持って車中泊ライフを送ってみるのもいいのではないでしょうか。寒いのをちょっとだけ我慢して、就寝前に換気をして湿気を外へ逃がしてやりましょう。これが匂い対策にもなるし、実はキャンパーを長持ちさせることにもつながりますので。
結露の概念図
ファンなどを活用、まめな換気も結露防止に効果的だ。
このページを参考にして頂きながら、自分に合った暑さ、寒さ、そして結露対策を見つけて、快適な車中泊&キャンピングカー生活を送って下さい!ではまた次号で。
(旅楽 Vol.22より転載)