快適なくるま旅を楽しんで頂くために、今回は、キャンピングカーならではの電源とガス供給システムについてお話しします。
<今回のテーマ>
キャンピングカーの
電源とガス供給システムのお話し。
前号から『快適車中泊&キャンピングカー生活基本のキ』としてお届けしているこのページ。25年以上にわたるキャンピングカー人生での経験を元に、皆さんにさまざまなお役立ち情報をご提供します。
今回のテーマは、キャンピングカー生活に欠かせない、電源とガス供給システムのお話しです。
その1:電源システムについて
●バッテリーの能力を知っておく
初心者ほど「サブバッテリーを積んでいるから、停まっていても何でもできる。」とか「ずっと電気を使っていても大丈夫。」と思い込みがち。そこで、少しばかり荒っぽいアドバイスをひとつ。それは『バッテリーはどこまで使ったら空っぽになるのか』を試してみるというもの。いつもバッテリーを気にしていては、せっかくのキャンピングカー生活が楽しめなくなってしまいますからね。
アメリカのように3WAY、すなわち12V/100V/LPガスを用途や環境に合わせて使い分けることができれば安心なのですが、日本では現状、12V式冷蔵庫の装着率が高く、LPガスボンベ搭載車が少ない。出発時にはバッテリーがしっかり充電されているように心がけておくことが大切です。
サブバッテリーを過信せず、お出かけ前には必ず電圧計で容量をチェック!
●電源システム導入はプロに相談
現在12Vが主流の日本のキャンピングカーにおいては、ソーラーシステムを併用するのもお薦めの方法です。ここで気をつけたいのはシステムの選び方、そして取り付けについて。
ソーラーパネルはもちろんですが、コントローラーの優劣が性能の善し悪しを決めると言えます。現在ポピュラーなMPPT方式は性能が安定しており、以前主流だったPWN方式に比べて効率がいいように思います。ただ安価なシステムだと、MPPTと記載されていても期待通りの性能が得られないこともあるようです。
DIYの腕に覚えがあるユーザーが、ホームセンターやネットでソーラーシステム一式を購入、自分で取り付けるという話しもよく耳にしますが、感電や発火の危険があるということをキモに命ずるべきです。また、昨今注目が高まっているリチウムバッテリーの導入についても、すべてのキャンピングカーに相応しいものとは言い切れない側面があります。高圧電流を扱う以上、ウワサ話しやネット上の情報を鵜呑みにすることは禁物。プロに相談して愛車やご自身の使い方にマッチしたシステムをチョイスするのが賢明。もちろん取り付けについてもノウハウを持ったプロに任せるのが、文字通り無難です。
ソーラーパネルとともにコントローラーの性能も重要。MPPT方式がお薦め。
その2:ガス供給システムについて
●LPガスのお話し
国内では、LPガス業界の古くからの慣習や自主規制に起因して、キャンピングカーでの使用がいけないことのように言われがちです。しかし搭載は法令違反ではなく、アメリカでは長年ポピュラーである事実も証明する通り、LPガスはキャンピングカーにおいても安全で使い易いエネルギーと言えます。ユーザーが気兼ねなく使えるように、RV協会からもLPガス業界に働きかけを行っていますが、残念ながら皆さんご存知のような状態が続いていることが、個人的には残念でなりません。
日本でもキャンピングカーでLPガスが手軽に使えるといいのだが…。
●カセットボンベの積載は最小限に
その手軽さから、キャンピングカーのシステムでもポピュラーになっているカセットボンベ。しかし油断は禁物、取り扱いには充分な注意が必要です。
・高温になる場所には保管しない。
・大量に積載しない。
是非この2つを守って頂きたいと思います。言うまでもなく日本中どこでも手軽に購入できますから、なくなりそうになったら買い足すというのがスマートです。
主流になっているカセットボンベ。手軽だが積載は必要最小限に。
Dr.マサシのワンポイントアドバイス
システムの点検をお忘れなく!
車両の点検は法令で義務づけられていいますが、キャンピングカーの各種システムも定期的な点検が欠かせません。特に製造から10年以上が経過したキャンピングカーは、各種電気・ガスシステムの劣化により効率が悪化、本来の性能が発揮できなくなるばかりか、発熱部分にたまったホコリ等が原因で火災に至る危険もあります。住宅並みの設備をもちながら走行・移動することが前提のキャンピングカーは、客観的に見れば毎日地震にさらされているようなものなのです。またどんな装備、パーツも経年劣化は避けられません。プロによる定期的な点検・整備、そして対策をしてもらうことが、キャンピングカー生活を安全・快適に楽しむためのコツです。
(旅楽Vol.23より転載)